Bathking in the sun.

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旅行,時事,ゲーム,テクノロジー等について思ったことを書いています。

ネットワークビジネスの勧誘を受けた話

あけましておめでとうございます。

昨年はコロナ禍で大変な一年を過ごされた方も多いと思います。

今年は良い一年となりますよう。

どうぞよろしくお願いします。

 

さて,新年早々にする話ではないかもしれませんが,

今日は私が以前Amway(アムウェイ)というネットワークビジネスに勧誘された話をしたいと思います。

よく考えれば,わりと珍しい体験をした気がしますし、この経験が誰かの参考になれば,という気持ちで記録に残しておこうと思った次第です。

 

時は昔、私が新社会人として働き始めた頃に遡ります。

その頃定期的な収入が入るようになった私は、資産運用に興味を持っていました。しかし,実際の経験も乏しく,知識も持ち合わせていない状況でした。

ある日,Twitterで銀行の資産運用セミナーに参加したことを呟きました。今思うと,それを見たからだと思うのですが,しばらくして,大学の先輩からLINEが来ました。

その大学の先輩(Aさんとします)は,在学当時から友達が多く,沢山の飲み会を主催してくれていたりしました。Aさんと特別親しい間柄というわけではありませんでしたが,同じコミュニティに属していたので,飲み会の席で一緒になれば話をしたりLINEを交換したりはしていました。Aさんは卒業後,大手メーカーに就職したと聞いており,卒業後は特に交流はありませんでした。

 

そんなAさんからの突然の連絡。

「久しぶり!資産運用に興味があるの?知り合いにお金持ちのすごい人がいるから話を聞いたら参考になるかも。」とのこと。

その「すごい人」がどういう人か ,どんな話が聞けるのか,詳しいことは聞きませんでしたが,既知の間柄の先輩からの誘いということもあり,「すごい人から,どんな話が聞けるんだろう。」という気持ちで会ってみることにしました。

 

休みの日の昼間,先輩と待ち合わせしたら「あと数人知り合いが一緒。」とのこと。しばらくすると2人の男女が来ました。年齢は私と同年代くらい。男の人が車で来ていて,運転してくれます。

道中挨拶をしたところによると,男女のうちの男の人は通信会社のコールセンター勤務。女性は専門学校生とのこと。

Aさんからは「仕事はどう?楽しい?」と聞かれ,「普通に楽しいですよ。まだ覚えることだらけなんで早く仕事覚えたいです。」等と話をしました。

 

そして着いたのは,とある高層マンション。

出迎えてくれたのは40代位に見えるご夫婦。体型も引き締まっていて,身なりも見るからに「お金持ちそう」(先入観かも?笑)でした。

私はカフェでお茶しながら話す程度だと予想していて,まさか自宅に案内されるとは思っていなかったのでどぎまぎ。よくわからないまま,とりあえず「お世話になります。」と手土産を渡してお邪魔しました。

すると奥さんは「あらあら,こんなことしてくれた子は初めて。」とのこと。ほかにも話を聞いてきた人がいるのかな?と思いながらも中へ。

広いリビングに,大きな窓からの眺望。もちろん調度品などもきちんと整えられています。長い机には食事の準備がされていました。男女の2人もご夫婦とも知り合いみたいで,親しげに挨拶を交わしています。

奥さんが女性の時計に注目して,「あら,素敵な時計。新しく買ったの?」等と話していました。

 

全員が席につき,旦那さんがオープンキッチンでパスタを調理してくれて食事が始まりました。調理をしながら,しきりにフライパンがとても高性能なことを説明されました。

皆さんが自己紹介等をしてくれ,私も自分の経歴などを話しました。

旦那さんは元々銀行マンだったけど,とあるビジネスに成功して引退して今は悠々自適な生活を送っているとのこと。奥さんは専業主婦。

ご夫婦にはお子さんがいて,子供は父親が仕事をしておらず遊んでいるのを見ているため,遊んでいたらお金がもらえると思っていると笑い話をしていました。

また,旦那さんはバスケが趣味で,夜中までバスケをしたりすることもあるそう。元気で精力的な人だな,と思いました。

また,自分の経歴話の派生で部屋に置いてある空気清浄機の話へ。どんな小さなウイルスもキャッチできる非常に高性能な機器なんだとか。

また,毎日飲んでいるサプリメントがあって,これのおかげで毎日精力的に遊んだり活動が出来ているとのこと。

 

そうこうするうちに食事は終わり,話は旦那さんのビジネスの話へ。旦那さんの話では,実は先輩のAさんも,男女の2人も同じビジネスに参加している「仲間」なのだそう。

てっきり投資や資産運用の話を聞けると思っていた私は「なんだか違う方向の話だな」と思いながらも聞き続けました。

 

皆がしている「ビジネス」というのは,実はとある会社の商品を人に勧めて,その購入代金に応じてインセンティブが入る仕組みのもの,ということ。

その会社とは,アメリカの「Amway(アムウェイ)」という会社で,実はこのフライパンや,空気清浄機,サプリメント等もそこの商品で,とても高性能なものばかり。広告を全くしないことでその分製品開発費に充てているから品質が良いそう。なんとご夫婦はサプリメントを製造しているアメリカの工場にまで出向いて,その目で品質や安全性を確かめてきたとのこと。

 

この時点で,内心「え。マルチ商法じゃん。」と引く私。

それを察したかのように旦那さんから追加説明。

「いわゆるねずみ講とかマルチ商法と勘違いされがちだけど,私たちのビジネスはそれとは全く違う構造。ねずみ講は違法だけど,ネットワークビジネスという形態は合法なもの。商品も違法に高いものではなくて本当に良質な製品を周りの人におすすめするだけ。収益も,直接紹介した人に一番多くインセンティブが入る仕組みになっているから,後から始めた人でも実力があれば十分上に上がれる。」

私は正直かなり懐疑的な気持ちでしたが,話を聞く限りではそのビジネス構造の違法性や欠陥を見つけることはできませんでした。また,この状況で今反抗するよりもとりあえずこの場を丸く収めておこうと思い,「そうなんですか。それだけでお金をもらえるなんてすごいですね。」と中立~肯定的立場にいておくことにしました。

話はどんどん続きます。

旦那さんがビジネスを始めたころは,まだアムウェイが日本に進出してきてそんなに経っていないころ。旦那さんの同年代の人々にこのビジネスを持ちかけても,「頭の固い人」ばかりであんまり感触は良くなく,逆に今の若い世代の人は「柔軟な人」が多くて話が分かる子が多いと言っていました。

若い男女の人も仕事をしながらビジネスを頑張っており,徐々に「稼げる」ようになってきているとのこと。「仲間」というのは,旦那さんを「親」とするツリーのグループで,各人が売り上げる程全体が潤う仕組みになっているから「仲間」ということなのだそう。

だからこうやって勧誘にも仲間単位で動くみたいですね。

何だか完全に組織化された動きの中にいることに圧倒されつつ,「この後アムウェイの上位層の人から『勉強会』があって,通常は有料だけど〇〇さん(私)の分はおごるから一緒にどう?」と言われて,結構渋ったのですが半ば流れでそのまま会場にでかけることに。

とりあえずご夫婦にお礼を言って家を出て,また男性が運転してくれて車で出発。行きとは全く違う「連行」される気持ちに。

道中Aさんが色々話をしてくれました。話をしてくれた旦那さんは日本に〇人しかいないダイヤモンドなんとかのランクの人で,年間何もせずに6000万円入ってくる豪遊生活を送っているそう。

Aさんは初めにこのビジネスを聞いて懐疑的で,自分で色々と調べたそう。でも調べれば調べる程間違っていないと思え,このビジネスに「乗る」ことを決意したのだとか。売上げとしてある一定の金額(PVというそう)をクリアすれば次の月からランク?が上がって一気に上昇していけるそうで,Aさんはそれに乗るべく賭けていると言っていました。

仕事も絶対定時で上がって,勉強会やビジネスに打ち込んでいると言っていました。

生き生きと話すAさん。何だかこれまでのAさんとは全く違う様子で,ただただ居心地が悪かったです。

 

そんなこんなで到着したのは一等地ビル街にある「アムウェイ・プラザ」なる場所。私はアムウェイという名は初耳でしたが,こんなビルを構えるくらいなので,事業規模はかなりのものだとわかります。また事前に会員数なども聞いていて,それも多かった事もあります。

参加費は私は払っていないのですが,確か1000円程度だったように聞こえました。会計をすませて会議室のような所に通されると,20人くらいの「若者」が机に座っています。講師の方が来て,セミナー形式で話し始めます。

話は「浄水器」について。

まずは導入として,現在の水道の水には恐ろしい寄生虫がいて危険だということ。水道水に含まれる塩素を加熱すると発がん性物質が作られて危険だという事。

(こんな画像がスライドで使われていました。)

現在の浄水器の法律による検査項目などの話。

そしてアムウェイの「浄水器」について,ほかの浄水器と比べてさらに厳しい検査項目を設けてそれをクリアしていていかに素晴らしい商品かを説明していました。

説明は大筋間違ったことは言っていない感じですが,やや偏った見方にも聞こえました。ただそれ以上に,セミナーの参加者全員が講師の人の話に逐一大きくうなずいたり,時に笑ったり,「妄信的」に全肯定しながら話を聞いている姿に本気で寒気がしました。

セミナー終了。参加者たちはこの勉強会で得た知識を元に周りの人にこの浄水器を買ったりセールスしていくのでしょう。

Aさんから今の講師の人は旦那さんよりさらに上のランクの人だとキラキラした顔で言われました。

 

これで解放されると思いきや,夕食を他の「仲間」と一緒に食べないかとのこと。正直もう帰りたかったのですが,なんと大学のもう一人別の先輩(Bさん)も最近アムウェイを始める予定で,そこに来るとのこと。

本当に少しだけ,とのことでそのままレストランへ。行ってみるとさらに5人くらいの「若者」が。皆同じグループの「仲間」だそう。仲間の内でも当然売り上げの上下があるらしく,この人はすごい人でもう仕事やめてるんだよ,とか,毎年みんなでインドネシアに行くんだよ,とか羽振りの良い話ばかりでした。あと端々で「無理やりじゃないからね,嫌ならやらなくていいから。」とも言われました。

その時には懐疑的な目できょろきょろしていたので,レストランに置いてある空気清浄機がアムウェイのものであることに気づき,「ここもか・・・。」と,その勢力というか包囲網に捉えられているような恐怖を覚えました。

その場で,Bさんが来て,挨拶をして,アムウェイ会員になる契約をしていました。後で2人で歩いたタイミングでBさんが話を聞いたところによると,「まだ完全に信じたわけじゃないけど,とりあえずやってみて様子を見ようと思う。」と言っていました。

こんな風に懐疑的な気持ちになりつつも,調べたりしてそのビジネスモデルを判断して,参加するという人もいました。

私はパンフレット?のようなものをもらいました。アムウェイ会員には購入だけをする人「ショッピングメンバー」と勧誘もする人「ディストリビューター」と2つの入り口があるそう。

詳しくは覚えていませんが,初めての人は1万円以上買って,その後退会するときに1万円返金されるということで,とりあえず買ってみて,とのことでした。

そして長い一日が終わりました。

 

家に帰り,パンフレットやアムウェイについて調べてみました。

アムウェイは世界的に有名なネットワークビジネスでした。

説明を受けた通り,やはりそのビジネスモデルに違法性はないように思えました。また,商品についても確かに粗悪品ではないようです。ただし,値段がかなり高いのでその値段程他社の製品と差があるかはわかりませんでした。

しかし,個人的には人と人とのつながりを直接お金に換える仕組みがどうしても好きになれませんでした。口コミやアフィリエイトと何が違うのか,と言われると難しいのですが,彼らが「仲間」といって団結しているのが完全に「お金」によって結びついている,そのコミュニティに属したいとは思えませんでした。

また,アムウェイのパンフレットには「勧誘する場合は必ず目的を伝えてから行う事」と書かれているのですが,私はそういった目的を知らされることなく「すごい人の話が聞ける」という事で行ったら,気が付いたら勧誘をされていました。半ば強引に勧誘され,私への善意等ではなく完全にお金のために私に話を持ち掛けてきたAさんに疑問も覚えました。

 

家族にアムウェイの勧誘を受けた旨を話すと,なんと母は知り合いからアムウェイ商品(クレンザーだけ)を時々買っているということが分かりました。勧誘などにはもちろん乗らないけど,商品は悪くないから使っているとのこと。

また,姉が昔友達から勧誘されてすごく嫌な思いをしたらしく,私が勧誘された話を聞いた姉から「絶対にやめて!友達なくすよ。」と強いメールが来ました。姉はアムウェイを嫌悪していました。

また,大学の友人に話したところ,同じようにAさんから勧誘を受けている人もいるようでした。

 

こういった結果,私はショッピングメンバーとして1万円分だけ購入してすぐ退会し,返金することにしました。商品は悪くないし,ということでものだけもらって終わろうとの判断です。口臭スプレー,シャンプー,トリートメント等を買ったと思います。

そして,Aさんにディストリビューターをせず退会する旨をLINEしたところ,

「止めはしないけど,本当にそれでいいのか,自分の将来について,よく考えた方がいいよ。」との返事が。

本人は親切心で言ってくれているのかもしれませんが,元々目的を知らされずに勧誘を受けたことに疑問を覚えていた上にこの返事で,私の中で完全に嫌悪感へと変わり,「ご心配ありがとうございます。でも大丈夫ですので。」といってAさんとの関係は終わりました。ただただ後味が悪かったです。

 

以上が私の受けた勧誘話です。

 

今思うと,仕事が楽しいか聞いてきたり,端々に商品の宣伝が入ってきたり,羽振りが良いことをさりげなくアピールしてきたり,これらすべてが入会へ誘導することの伏線だったのかと思うと,よく出来てるなと思うとともに,恐ろしさを感じます。

 

上記の経験を経た上で今の気持ちとしては,アムウェイのビジネスモデル自体は好きになれないけれど,実際にそれが違法なものでなく,お金を得ている人がいることに漠然としたもやもやを感じます。

ビジネスモデルに疑問を感じる理由を名言することは難しいですが,私の中でのビジネスパートナーというのは,様々な方法で社会をよくしたいという理想の元に,共感する仲間が集まっていくものだという風に思っています。アムウェイの仲間はそうではなく,ただお金を得るために誰でもよいからつながりを作る,という形に見えるのです。また,これまで築いてきた人脈も,失うことも多いと思います。

実際に勧誘を受けて私はAさん,Bさんと,嫌な思いをして後味悪い形で縁をなくしました。このビジネスモデルに共感しなかった人との縁はいらないということであれば,それはそれで良いのかもしれませんが。

後,これで稼いでいる人へのもやもやというのも,単にお金持ちな人に対する僻みなのかもしれません。

 

また,私はビジネスモデルや勧誘方法に疑問を感じて誘いに乗ることはなかったですが,もちろん誘いに乗って始める人もいると思います。

ただ,アムウェイの事業規模は近年右肩下がりであり,始めた人の中には借金までして生活を壊してしまっている人がいることも事実です。

 

最後に少し話は飛躍しますが,世の中にはお金稼ぎに関する様々な話が存在します。良いもの,悪いもの,様々なものです。それらに対して冷静な判断を下せるように,社会やお金についての知識は大事だなと痛感しました。

当時社会人になりたての私は特に社会やお金に対する知識が不足していたと思います。当時の私の対応も,少し素直に人に従いすぎ,もし強引な勧誘だったら危険な行動もあったかもしれません。

そういう意味で,実際に体験してみて是非を判断したという点において,一つ勉強になったと捉えることにしています。

 

ちなみに,購入したアムウェイ商品はちゃんと使い切りましたし,後日返金もありました。でもあの値段でもう一度リピートするかと言われたら,絶対しないですね。