南海トラフ地震が起こったらどうなるのか?
どうも,かなっぺです。
今日は東日本大震災から8年です。
この日を,改めて地震について考える機会にしたいと思います。
東北地方の地震情報については,2019年2月26日に政府 地震調査研究推進本部が,東日本の日本海溝沿いで,今後30年間のうちにM7.0以上の巨大地震が発生する確率を公表しました。
(画像:「政府 地震調査研究推進本部」より引用)
これによると,青森県~茨城県の日本海側においてM7.0以上の規模の地震が起こる確率は50~90%以上と非常に高い確率です。「もうしばらく巨大地震は起こらないだろう」とは思わず,「またいつ来てもおかしくない状況にある」,という認識を持つことが必要です。
また,注意が必要なのは日本海側だけではありません。
今日本において地震で大きな脅威と言えば,「南海トラフ巨大地震」でしょう。
今回はこの南海トラフについての話をしたいと思います。
南海トラフの想定被害
東海から九州まで東西700kmに及ぶ南海トラフ。この地震が起きた時,一体どんな被害が想定されるのでしょうか?
内閣府が提供している「南海トラフ巨大地震 そのとき何が起こるのか?」というシミュレーションCGの動画を参考にしました。
日本の超広域で震度6以上の震度
(画像:「内閣府 防災情報のページ」より引用)
こちらは南海トラフ地震が発生した場合の震度予想分布図です。日本の広い範囲において震度6以上の非常に強い揺れが数分に渡って起こると想定されています。
想定される死者数
国の被害想定では,最悪の場合,死者は約32万人にも達すると考えられています。
(津波:約23万人,建物倒壊:約8万人,火災:約1万人)
これは,東日本大震災の約17倍に相当します。
巨大津波が次々と沿岸に到達
南海トラフ大震災では,震源域が陸地に近いため,津波が非常に早く到達すると予想されています。
(画像:「内閣府 防災情報のページ」より引用)
上記の青色の地域で発災後30分以内に30cm以上の浸水が起こるとされています。また,普段は津波とは無縁の内陸側まで津波被害が来ると想定されています。
(画像:「大阪府危機管理室」より引用)
一例までに,こちらは大阪府の津波浸水想定域です。各自治体が同様の資料を作成していますので,お住いの地域の情報を一度確認してみてください。
また,南海トラフ巨大地震においてはこれらの情報の想定を超える事も十分考えられます。(東日本大震災がその最たる例です。)
「ここは津波来ないから大丈夫」という決めつけはしないようにしましょう。
東日本大震災で岩手県釜石市の中学生達が,津波が見えないうちから周りの人に声をかけながら高台へ避難したことで,犠牲者を減らすことが出来たことが知られています。
長周期地震動
超高層ビルの上層階では固定されていない多くの家具が転倒し,キャスター付きの家具は大きく揺れることが想定されます。
水道・電気等のライフラインが途絶
- 上水は断水により3440万人,下水は3210万人が使用不可能
- 2710万軒が停電。東海・近畿・四国では9割が停電
- ガスは180万戸が停止
- 固定電話は930万回線が通話不能に
道路・鉄道が通行不能になる
- 道路は4万か所が路面損傷・沈下・橋の損傷
- 鉄道は1万9千箇所が損傷
- 中部国際・関西国際・高知・大分・宮崎空港は津波で浸水
- これによる帰宅困難者は京阪都市圏で最大660万人,中京都市圏で400万人と想定
行政機関の救援・支援システムが機能しない
超広域にわたる被害のために従来の国や自治体による救援・支援システムが機能しなくなると想定されています。避難者は発災1週間後に最大950万人に上ると推定されており,食料や飲料水が不足し,トイレの不衛生等劣悪な環境での避難を余儀なくされると想定されています。医療機関も十分な医療が出来なくなることが考えられます。
このため,公助に頼らない,自助・共助による対策の力がより一層大切になってきます。
経済的損失
南海トラフ巨大地震による経済損失は215兆円と推定されます。
これは国家予算の2倍に上ります。
被害を減らすために
こういった被害を少しでも減らすために,以下の事は今から備えておく必要があります。
- 建物の耐震化
- 家具の固定等転倒防止
- 簡易トイレの準備
- 1週間分は水・食料を備蓄する
- 非常用持ち出し袋の準備
「臨時情報」が出たとき,どう対応する?
気象庁は,地震状況等を元に,巨大地震の発生確率が高まっていると判断した際に「臨時情報」を出すということが決まっています。
この臨時情報が出た場合,どのような状況になるのでしょうか。
臨時情報が出たらどうなる?
まず,臨時情報を受け,各自治体が「避難勧告」を出すかどうかを検討,必要と判断したら発令します。
これを受けて住民は「事前避難」をするかしないか判断します。
また,津波危険度の低い地域については以下の対応になる確率が高いとのこと。
- 学校や病院等は十分な警戒を続けながら普段通りの運営を行う。
- 交通機関は出来る限り止めずに社会への影響を小さくする。
このように事前避難は,「命を守ることを最優先にしながら出来る限り社会も持続させていくこと」がポイントになります。
事前避難の目途は?
一度出された臨時情報を解除する判断は容易ではありません。地震発生確率が下がったという報道は「安全情報」を出すようなものだからです。
このため,避難をした場合は「避難の長期化」という問題に直面します。体力的にも限界がありますし,社会的にも,会社員で会社を休んでいる人はそれほど長く休むわけにもいかないでしょう。
このため,国は1週間を区切りとして,十分な警戒をしながら,ふだんの生活に戻ることを想定しています。
南海トラフ、前兆で1週間避難 安全と暮らし両立探る :日本経済新聞
避難から戻った後にどうする?
十分な警戒とは具体的に以下のような対応が挙げられます。
- 在宅時・外出時の避難路の確認
- 家具の固定確認
- 消火器の準備
- 1週間程度生活できる程度の備蓄の準備
いざ本当に地震が起こった時に冷静に行動出来るようにしましょう。
国の南海トラフ防災検討会主査の名古屋大学現在連携研究の福和伸夫センター長は,「必ず起こるわけではないが,もし万が一起こった際に国難とも言うべき被害となる。空振りでも良いので,見逃しだけはしないという精神で対応する。」と述べていました。
誤情報にだまされない
また,世間ではSNS等を中心に不安や憶測から不確かな情報が飛び交い,食料品の追加購入により品薄に,車で避難するためのガソリンが不足するといった事態が想定されています。
何度でも同じ行動をとる
また,事前避難の空振りが繰り返されることで,「またか。今まで来てないし,もう避難しなくても大丈夫じゃないか」といった心理状況になることも考えられます。何度空振りしても,万が一に備えて行動は変えないように決めておきましょう。
以上,南海トラフ巨大地震が起こったらどうなるのか。どのような備えをするべきか。そして臨時情報にどう対応すべきか。についてまとめました。
地震が起きることは防げませんが,起こった時の被害を最小限に留めることは,今の私たちの心掛け次第でできることです。
その他参考情報: