アサヒビール大山崎山荘美術館は癒しの空間だった
山崎蒸留所のウイスキー在庫切れは残念でしたが,
その後訪れた大山崎山荘美術館は素敵な場所だったので合わせて紹介します。
大山崎山荘は,大正から昭和初期に,実業家・加賀正太郎が別荘として自ら設計した英国風の山荘です。加賀はニッカウヰスキーの創業にも参画していました。アサヒビールの初代社長,山本爲三郎と深い親交があり,これをきっかけとして別荘は美術館として生まれ変わったのです。
さらに建築家・安藤忠雄設計の地中館と山手館を増築して現在の形に至ります。
実は5年前にも蒸留所見学と兼ねてきたことがありますが,
その時よりもゆっくり回れて良さを堪能することができました。
わりと坂道なので,高齢の方優先で駅から無料送迎バスも出ています。
でも歩く途中も自然がいっぱいなので,健脚の方は是非徒歩がおすすめです。
入口となるトンネル。これがすでに登録有形文化財です。
自然に囲まれてひっそりと見えるこの建物が大山崎山荘です。
絵画,陶磁器,暖炉,オルゴール時計,ステンドグラスなどの選び抜かれた調度品やこだわりが垣間見える庭,山本爲三郎のコレクションの数々が展示されています。
安藤忠雄建築の地中館には何とあのクロード・モネ作の睡蓮の連作が展示されています。
安藤さんとモネの組み合わせは瀬戸内の直島にある地中美術館でも見れますが,
こちらはもっとこじんまりとしていとしていてより知名度が低い分,レア感があっておすすめです。
パリのオルセー美術館にも展示されるような画家の作品が京都の外れの山荘にひっそりとあるのは何とも嬉しいですね。人も多くないのでゆっくりと観覧できます。建物自体も別荘として建てられていて,眺望よし,静けさよしで隠れ家的雰囲気を醸し出しています。
ちなみにモネの作品はHPでは5点紹介されていますが,今回は4点でした。しかもうち1点はHPのものとは異なっていました。もしかしたら企画展などに貸し出ししているのかもしれませんね。
ちなみにこの時名古屋市美術館で開催されていた「モネ それからの100年」
にも行っていたので,作品一覧の中の所蔵を照らしてみましたが,そこには大山崎山荘美術館の作品はありませんでした。
さらに私が訪れた時は「ウィリアム・モリス ーデザインの軌跡」という企画展が催されていました。
役に立たないものや、美しいと思わないものを、家に置いてはならない。
ウィリアム・モリス(1834-96)は、19世紀後半のイギリスで最も傑出した芸術家・思想家のひとりです。
産業革命により粗悪な大量生産製品があふれるなか、モリスは日々の労働が創造の喜びに包まれていた中世ギルド社会の再興をめざして、アーツ・アンド・クラフツ運動を先導しました。生活の芸術化を図るという構想のもと総合的な室内装飾を手がけ、理想的な書物制作のためケルムスコット・プレスを創設するなど、その活動は多岐にわたります。
ウィリアム・モリスといえばイギリスの芸術家・思想家。
産業革命により生まれた画一的で大量生産の粗悪品ではなく,手工業による美しく高品質の製品を求めるというアーツアンドクラフツ運動を主導し,後のデザインに大きな影響を与えた。
イギリス郊外のコッツウォルズ地方の村,バイブリーをこよなく愛し,実際に住んでいたことでも知られています。
私はここで初めてウィリアム・モリスのデザインを見たのですが,
植物や動物の様式美がみごとだなと感心しました。
また,壁紙の作品は木版の多色刷りで作られていて,最小限の色数でデザインに立体感を持たせる工夫が見て取れました。
また,左右対称な作品があったり,非対称な作品があったり,
葉脈をみごとに表現したり,
非常に興味深かったです。
さらに植物の装飾性はアルフォンス・ミュシャの絵画にも見られる特徴で,どこか共通した所を感じました。
アールヌーボーのデザインなんですね。
モリスのデザインを見た後に山荘の庭園を散策すると,その辺の草木がアートに見えてくるから不思議です。
いつもは気に留めないのに,この時は葉脈の美しさが目に留まりました。
ウィリアム・モリスのデザイン,好きになりました。
ウィリアム・モリス - クラシカルで美しいパターンとデザイン-
- 作者: 海野弘
- 出版社/メーカー: パイインターナショナル
- 発売日: 2013/03/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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山崎蒸溜所から歩いて行ける場所にありますので,こちらも一度足を運んでみてはいかがでしょうか。別荘ならではの静かな時間を過ごせると思います。